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【ますかる f – 複素解析編 – 第2節 – (1)】 複素関数の経路による線積分の値の違いが微分係数になるのを確かめたい

サイン 「さっきのあれ…」

コサイン 「あれってなんだ?」

サイン 「経路の違いで積分の値が異なるやつ.積分値の変化分が導関数の値になるって本当かな?」

※参照【複素関数の積分】

コサイン 「そりゃ本当でしょ.定理の名前まで付いてるんだから.」

サイン 「でも,実際に確かめてみたくなる.」

コサイン 「…なんかいい関数持ってくる…?」

サイン 「具体例だ!…それじゃ…
\begin{eqnarray}
f(z)=\exp (\cos (\sin(\exp(\cos(\sin z))))
\end{eqnarray}
にしてみよう.」

コサイン 「死ぬ気?」

サイン 「計算してみたら,意外とシュっと行くかもよ. さぁ~やってみよう.まず… $ f(z) $ の導関数は…」

サイン 「…」

サイン 「 $ f(z)=ze^z $ ぐらいにしておくか…」

コサイン 「諦めたね」

サイン 「この導関数ぐらいなら計算できそうだ.
\begin{eqnarray}
f'(z)&=&e^z+ze^z=(1+z)e^z\\
f”(z)&=&e^z+(1+z)e^z=(2+z)e^z\\
f\pne n(z)&=&(n+z)e^z
\end{eqnarray}
だな.」

コサイン 「実関数と同じように計算してるね.でも複素関数ってもう少し厄介だったよね.」

サイン 「そう言えばそうだった…実部と虚部に分けて,CR関係式を満たすことを確認しなきゃいけないんだった.それもちょっとやってみるか.」
\begin{eqnarray}
f(x+iy)&=&(x+iy)\exp(x+iy)\\
&=&e^x(x\cos y-y\sin y)+ie^x(x\sin y+y\cos y)
\end{eqnarray}
↓実部 $ x $ と虚部 $ y $ で微分してみる
\begin{eqnarray}
\bibunp fx&=&e^x\braces{(1+x)\cos y-y\sin y}+ie^x\braces{(1+x)\sin y+y\cos y}\\
\bibunp fy&=&e^x\braces{-(1+x)\sin y-y\cos y}+ie^x\braces{(1+x)\cos y-y\sin y}
\end{eqnarray}
↓頑張って $ z $ で書き直す
\begin{eqnarray}
\bibunp fx&=&(1+z)e^z\\
\bibunp fy&=&i(1+z)e^z
\end{eqnarray}
サイン 「出てきたぞ.確かにCR関係式
\begin{eqnarray}
\bibunp fx=-i\bibunp fy
\end{eqnarray}
を満たしてて,導関数は
\begin{eqnarray}
\bibun fz=\bibunp fx=-i\bibunp fy=(1+z)e^z
\end{eqnarray}
だ.複素関数もだいたい実関数と同じだな.」

コサイン 「複素関数でも積とか合成関数の微分とかできること示しておきたくなるね.でもこれで $ n $ 階導関数 $ f\pne n(z) $ が $ (n+z)e^z $ だってこともわかるね.」

サイン 「こっからが本番だな…これを線積分してみて,経路による違いを調べてみる.」

コサイン 「コーシーの積分公式はたしか,
\begin{eqnarray}
\frac{f(z)}{(z-\alpha)\ethr n+1}
\end{eqnarray}
の $ z=\alpha $ をまたいだ経路による積分値の違いが
\begin{eqnarray}
\frac{ 2\pi i}{n!}\times f\pne n(\alpha )
\end{eqnarray}
になるってことだったね.」

サイン 「今回の例に当てはめてみると…
\begin{eqnarray}
2\pi i\times f\pne n(\alpha )=\paren{\gamma\f 1,\gamma\f 2での\frac{ze^z}{(z-\alpha)\ethr n+1}の積分の違い}
\end{eqnarray}
ということか.
\begin{eqnarray}
f\pne n(z)=(ze^z)\pne n=(n+z)e^z
\end{eqnarray}
だったから,積分の違いが $ f\pne n(\alpha )=(n+\alpha)e^\alpha $ になるってことか.確かめてみよう. $ \alpha =1,\; n=2 $ あたりで確かめてみる」

コサイン 「つまり
\begin{eqnarray}
\frac{ 2\pi i}{2!}\times f”(1)&=&\pi i(2+1)e^1=3e\pi i\\
&=&\paren{\dis\frac{ze^z}{(z-1)^3}\: の経路による積分値の違い}
\end{eqnarray}
を確かめるってことね.積分経路…ってどうするの?」

サイン 「どうしよう…なんか適当に積分経路を取ってみるか…. $ z=1 $ をまたぐ2つの経路を準備しないと…」

コサイン 「経路ってどんな形でもいいんだっけ.」

サイン 「くわしく聞いてなかったけど,多分,細かい形はなんでもいいんだろう.だったら計算しやすい経路を持ってこよう.」

コサイン 「途中でカクンッって曲がったような経路はどうやって計算すればいいんだろう….」

サイン 「2つの経路に分割して積分するか.」

コサイン 「それしかなさそうだね.それで…線積分のときは曲線のパラメーターが必要になるね.たしか曲線 $ \gamma:[a,b]\to\com $ 上の線積分が
\begin{eqnarray}
\int\f\gamma f(z)dz=\int\f a\ef bf(\gamma (t))\gamma ‘(t)dt
\end{eqnarray}
だから,まずはそれぞれの $ \gamma\two ij $ を具体的な $ t $ の式で書かないと.」

サイン 「同じ図形を描くようなものであれば,パラメーターはどんな形でもOKだったね.なら…こんな感じで」

コサイン 「これで積分の計算準備は整ったね.じゃあやってみよう.」
\begin{eqnarray}
\int\thr\gamma\f 1\frac{ze^z}{(z-1)^3}dz&=&\int_{\gamma\two 11}\frac{ze^z}{(z-1)^3}dz+\int_{\gamma\two 12}\frac{ze^z}{(z-1)^3}dz\\
&=&\int\f 0\ef 2\frac{(t-i)e^{t-i}}{(t-i-1)^3}dt+\int_{-1}^1\frac{(2+it)e^{2+it}}{(1+it)^3}idt\\
\int\thr\gamma\f 2\frac{ze^z}{(z-1)^3}dz&=&\int_{\gamma\two 21}\frac{ze^z}{(z-1)^3}dz+\int_{\gamma\two 22}\frac{ze^z}{(z-1)^3}dz\\
&=&\int\f 0\ef 2\frac{(t+i)e^{t+i}}{(t+i-1)^3}dt+\int\two -1\ef 1\frac{ite^{it}}{(it-1)^3}idt
\end{eqnarray}
サイン 「計算できるのだろうか…これ」

コサイン 「ちょっとわからない…これを実部と虚部に分ければ….」

サイン 「やばいことになるなぁ……….ちょっと $ f(z)=ze^z $ じゃなくて, $ f(z)=z^4 $ ぐらいの例にしておく?」

コサイン 「そうだね.もう少し計算しやすい例にしとこう…」

サイン 「えーと… $ f(z)=z^4 $ で同じことをすると…まず $ f”(z)=12z^2 $ で, $ f”(1)=12 $ になる.」

コサイン 「ということは
\begin{eqnarray}
\frac{2\pi i}{2!}\times f”(1)=12\pi i=\paren{\frac{z^4}{(z-1)^3}の経路による積分値の変化}
\end{eqnarray}
が成り立つことを確認すればいいわけか.」

サイン 「これぐらいなら計算できるかなぁ~.やってみよう.積分経路はさっきの $ \gamma\f 1 $ と $ \gamma\f 2 $ で
計算は $ \gamma\two 11,\gamma\two 12,\gamma\two 21,\gamma\two 22 $ に分割してやろう.」

\begin{eqnarray}
\int\thr\gamma\f 1\frac{z^4}{(z-1)^3}dz&=&\int_{\gamma\two 11}\frac{z^4}{(z-1)^3}dz+\int_{\gamma\two 12}\frac{z^4}{(z-1)^3}dz\\
&=&\int\f 0\ef 2\frac{(t-i)^4}{(t-i-1)^3}dt+\int\two -1\ef 1\frac{(2+it)^4}{(1+it)^3}idt\\
\int\thr\gamma\f 2\frac{z^4}{(z-1)^3}dz&=&\int_{\gamma\two 21}\frac{z^4}{(z-1)^3}dz+\int_{\gamma\two 22}\frac{z^4}{(z-1)^3}dz\\
&=&\int\f 0\ef 2\frac{(t+i)^4}{(t+i-1)^3}dt+\int\two -1\ef 1\frac{(it)^4}{(-1+it)^3}idt
\end{eqnarray}
コサイン 「積分値の違いを調べるわけだから,計算するのは
\begin{eqnarray}
\int\thr\gamma\f 2\frac{z^4}{(z-1)^3}dz-\int\thr\gamma\f 1\frac{z^4}{(z-1)^3}dz
\end{eqnarray}
だね.」

サイン 「ちょっと嫌な予感はするけどやってみようか…」

サイン 「おおー!本当に $ 12\pi i $ になった!」

コサイン 「めっちゃ疲れた….」

サイン 「いやぁ…めっちゃ大変だね…この計算….」

コサイン 「でも本当に成り立つとは….ということはこんな計算しなくても一般的にできる方法が本当にあるってことだよね….」

サイン 「コーシーさんはそれを見抜いたってわけかな.対抗意識はないかい?」

コサイン 「ない.」

サイン 「こういうのはやっぱり,具体例よりも一般論のほうが分かったりするのかな….」

コサイン 「今度ネイピー姉さんに聞いてみよう.」

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